2011年10月15日土曜日

GUILD D-50 修理から帰ってきた!

1975年製 製造番号:115270 愛用のGUILD D-50なのだが、、、。
実はこのギター、佐賀県有田町の金子尚弘くんの友人、山本直紀くんが所有していたもので、それを約15年ほど前に、オイラのGUILD D-40と交換したものなのです。
このギターは、オイラの所有になる前まではあまり使われておらず、ケースの中で眠っていて、そのケースを開けたときには写真のごとく色焼けしていて、しかし、音は乾いていて、鳴りそうな予感を感じた。それから、バンドで使用してきて、最近は10数年ぶりにソロで使い始めた。が、傷みがじわりじわり。この辺でどうにかしないと!と一念発起。




修理箇所は、剥がれていたピックガードの貼り直しと1.5mm程ネック側にずれたブリッジの貼り直し、それにサドルの交換。
修理をお願いするのは、奈良県のO2factory(オーツーファクトリー)。
ネットで探した職人さんの中からココに決定〜〜!何故かは、サイトを参照ください。

事前にギターの状況について、オイラが送ったメールの返信メールがコチラ!
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明石様

はじめましてO2Factory岡村と申します
お問い合わせのメール有難うございます

[トップの塗装]
オイラ>譲り受け後、数年はバンドでハードに使用しており、トップの塗装(サウンドホール上下)もかなりはがしてしまいました。
返事>私見ですがアコースティックギターは弾き込まれてボロボロのものほど良い音がすると思っています
これは今まで修理してきた多くのギターから得た経験ですので間違いないと思います
見た目は悪くても今までの勲章ですしそのままでよろしいんじゃないでしょうか?
湿気の浸入を気になさる方もいらっしゃいますがボディの内側は初めから無塗装ですから
少し無塗装部分が増えただけで余り影響は無いでしょう
汗で木部が濡れてような使い方をしなければ大丈夫だと思います

[ピックガード]
オイラ>最近、弾き語りで使用を再開したのですが、ピックガードが浮いたまま使用しておりましたので、2/5程剥げていたピックガードのブリッジ側を割ってしまったので、とりあえず両面テープで貼付けて使っています。
返事>仮に純正のピックガードが販売されていたとしても多分合わないでしょう
オリジナルはセルロイド製で縮みや変形が激しいのでその様になるのです
これはピックガードを剥がしてしまってその跡に合わせて変形の少ない塩ビ素材で作り直すのが良いと思います
下記リンクを参照下さい
http://www.eonet.ne.jp/~o2factory/mp.html
ページ内にあるように工賃は16,000円で期間は1週間ほどです(この修理に使う塗装はウレタン塗装となります)

[ブリッジ]
オイラ>それから、添付写真のようにブリッジが少し浮いた状態なのと
ブリッジの6弦側がサウンドホール寄りに1mm強引っ張られた状態になっています。
返事>添付頂いた画像がそれですね
これは一旦ブリッジを剥がして元の位置に貼り直すしかありませんね
ただ、ずれた6弦側の前方(サウンドホール側)の塗装がブリッジがずれる時に
引きずった様になり痛んでいる可能性があります
1mm程度ですので気になさらないのであれば良いのですが
もし気になされようでしたらここの部分塗装で手直しする事が出来ます
ただし全く形跡無く仕上げるのは難しく修理跡は残ります
ブリッジ貼り直しの工賃は12,000円で期間は1週間ほどです
部分塗装の工賃は12,000円でこの場合ラッカーの乾燥時間が掛かりますので1ヶ月ほど掛かります
 
[ネックとフレット]
オイラ>ネックが準ぞりぎみで、12フレット付近は弦高がやや高い。
1弦の1〜4フレット辺りがびびります。ローコード弾きが多いので1〜4のフレット交換が必要かも知れません。
返事>フレットの部分交換は可能ですが全体交換とあまり工賃が変わらないですし
指板の修正も出来ませんのでお勧めいたしません
順ぞり気味で尚且つローポジションがビリつくと言う事はネックが波打っている可能性がありますし、この機会に指板修正&フレット・ナット交換をされる事をお勧めします
(指板修正は基本のフレット交換作業に含まれます)
フレット・ナット交換の工賃は43,100円で期間は1週間ほどです

複数作業をご依頼頂く場合の納期は合算ではなく納期の長い作業期間が納期の目安となります(例:フレット・ナット交換&ブリッジ貼り直し→納期1週間ほど、ブリッジ貼り直し&部分塗装→納期1ヶ月ほど)

このほかに返送送料1,000円が別途必要になります
もし修理ご依頼頂けるようでしたらギター発送前にもう一度ご連絡下さい
発送に関しての注意事項など折り返しご連絡差し上げます
それではよろしくお願いいたします
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おおかたの修理期間と費用を確認していたのだが、やっと10月6日に送付時の注意点を確認し発送。
到着後、改めてギターの状況をチェックしてもらうと、
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返事>
お世話になりますO2Factory岡村です
D-50到着しております
チェックさせて頂きましたがピックガードの変形は思っていたよりも小さく
現在は両面テープで補修されておられますが浮いた部分だけ接着剤(エポキシ接着剤が適用かと思われます)
で接着するだけでも当面はしのげるのではと思われます
長い目で見ると縮みが進めば他の部分を含めてまた剥がれて来ることも予想できますが…◎ピックガード製作・交換(塗り込み風)・・・・・・16,000円
または
◎ピックガード接着のみ・・・・・・・・・・・・・・4,000円
ブリッジ貼り直しは前回のメールでお知らせした金額と変わりありません
◎ブリッジ貼り直し・・・・・・・・・・・・・・・12,000円

ネックの状態ですがかなり順反りがありました
試しにトラスロッドを調整して見ましたが反りを修正して弦高が下がった分
ナット溝の低さが出てしまい1・6弦の開放でビリが出るようになってしまいました
この状態で1弦の1〜4フレットのビビリと言うのは気になりません
またネックにボディとのジョイント部から折れ曲がる所謂「腰折れ」の症状が出ています
と言っても深刻な状態では無く、反り修正出来た状態で
フレット上に大きなビリなどは見られませんでしたので
特に強く修理する事をお勧めするような状態では無いのですが一応ご連絡いたします
フレットもローポジションでの減りが見られますがフレット自体にまだ高さがありますので
フレット擦り合わせで修正できる範囲です
以下ネック周りのお見積もりですが上から順に修理重要度が下がります
◎ナット交換(牛骨材)・・・・・・・・・・・・・・5,600円
◎フレットすり合わせ・・・・・・・・・・・・・・ 11,000円
◎腰折れ指板修正フレット・ナット交換・・・・・・ 43,100円

サドルは現状で大きな問題は無いと思います
有るとすれば弦が乗る箇所に溝が出来てしまっていますので
このままですと弦とサドルの接地面積が広いのでアタック音が鈍くなる傾向にありますから
サドル頂点の整形をされてはどうかと思います
同梱頂いたタスクナットですが個人的にはメリットを感じない素材です
当店の常連さんに「タスクは弦の下が凹むから嫌」と言う方が居らっしゃったのですが
その通りですぐに弦の下が凹んできて弦とサドルの接地面積が広くなり
仮に素材特性上のメリットがあったとしても上記の理由から早い段階でアタックが鈍くなり
素材特性上のメリットは感じられなくなってしまうと思います
牛骨材もいずれ弦の下が凹んでくるのですがそれまでの期間がタスク材はかなり早いように思います
◎サドル整形・・・・・・・・・・・・2,000円
◎サドル交換(材持ち込み)・・・・・5,000円

ボディトップの浮きですが上から押さえても動きませんし問題は無いと思います
トップが剥がれて来ているのではなくセルが痩せたのではないでしょうか?

その他で気になった部分ですがバックのブレーシングが剥がれていました
添付させて頂いたボディバックの画像をご覧下さい
赤い線がブレーシングがある箇所でXで印した部分が剥がれています
バックのブレーシングが剥がれていると音量に影響が出ますので
直される事をお勧めします
◎バックブレーシング剥がれ5箇所・・・・・8,000円

それから1弦のサドル進入角が足りない状態にあるようです
添付画像の「D-50ブリッジ」をご覧下さい
㈰の赤線が正常なサドル進入角なのですが1弦の進入角㈪は㈰と比べて浅い事が分かると思います
この様にサドル進入角が浅いとサドルに掛かる圧力が下がり
特に強くピッキングした時などにサドル上で弦が遊ぶような状態になり
音に締まりがなくなってしまいます
これを改善するには画像「弦スリット1」のようにブリッジに切り込みを入れることで
進入角を深くする事が出来ます
画像「弦スリット2」が施工後です
画像は全弦に施工していますがこのD-50の場合は1・2弦以外は施工の必要はありません
◎ブリッジ弦スリット入れ(1・2弦のみ)・・・・・・1,000円

これ以外に返送送料800円が別途必要になります
納期はいずれの作業を行っても1週間前後で仕上げられると思います

それではどの施工をされるか検討していただいてご連絡下さいますようよろしくお願いいたします。
O2Factory
岡村正樹



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という訳で、5箇所のバックブレーシング剥がれが発覚。
結局のところ、ナット交換と、弦を緩めた時に落ちるサドル交換とストラップピンの取り付けを追加してもらい、最終的には下記の修理をお願いしました。
◎ピックガード浮き接着・・・・・・・・・4,000円
◎ブリッジ貼り直し・・・・・・・・・・ 12,000円
◎フレットすり合わせ・・・・・・・・・ 11,000円
◎ナット交換(牛骨材)・・・・・・・・・5,600円
◎サドル交換(牛骨材)・・・・・・・・・5,000円
◎バックブレーシング剥がれ(5箇所)・・ 8,000円
◎ブリッジ弦スリット入れ(1・2弦のみ)・ 1,000円
◎ストラップピン取り付け(パーツ込み)・1,250円
◎送料・・・・・・・・・・・・・・・・・・800円
合計48,650円
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これが、修理後のD-50です。

◎ピックガード浮き接着


◎ブリッジ貼り直しとサドル交換(牛骨材)


◎フレットすり合わせ


◎ナット交換(牛骨材)


◎バックブレーシング剥がれ(5箇所)


◎ブリッジ弦スリット入れ(1・2弦のみ)


◎ストラップピン取り付け(パーツ込み)


以上です。
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<修理後の商品発送メールです。>
ギターの保管方法・ワンポイントアドバイス!

明石様
お世話になっておりますO2Factory岡村です
このメールの前に同じメールが届いているかもしれませんが
送信中に不具合が出たようなので念の為にもう一同じメールを送信させていただきます
お世話になっておりますO2Factory岡村です
ご入金確認いたしました 有難うございます

ギターは明日到着指定で発送させて頂きます

ギターの保管方法として下記リンクページの最後の方に詳しく記しております
http://www.eonet.ne.jp/~o2factory/lg-o.html
それ以外のことで申しますと、毎日弾くギターでもなるべく弾き終わればケースに仕舞うように心がけてください
ケース内に楽器用の湿度調整剤(ドライキーパーと言う商品名で有ります)を入れておかれるとベストです
一般の除湿剤は極度に乾燥させてしまいますので楽器には不向きです
ギターの保管について高湿度を嫌う方が多いと思いますが、実際には極端な低湿度の方が恐ろしいのです
例えば湿度が30%を切る様な低湿度状態にありますと材木が痩せてフレットの端が飛び出してきたり
アコースティックの場合ボディに割れが生じたりします
実際冬場になるとアコースティックのボディ割れの修理が増えます
そのほとんどはセントラルヒーティングが効いた楽器店の店頭で極端な低湿度の為に起こったもので
中には「バンッ!」と言う音がして振り向いたらさっきまで何とも無かったギターにヒビが入っていた
と言う話を聞いたこともあります
ギターは乾けば乾くほど良いと思っている方が多いと思うのですが実際は低湿度は危険で
湿度50〜70%くらいがギターにとっての良い湿度だと思います
人間にとってもこれくらいの湿度が快適と言われておりますので
もし部屋ごと湿度管理出来る環境をお持ちならこの範囲を目安にされると良いかと思われます
最近は100円ショップにも温湿度計が置かれていますから部屋用とギターケース内用に複数購入されて
湿度管理される事をお勧めします
100円の品物なので精度に多少の疑いはありますが無いよりマシでしょう
もしお金に余裕が有られるのならばもちろん高性能の温湿度計をご用意される事をお勧めしますが…

管理に関してはだいたいこのくらいの事を心がけて頂ければ良いかと思います

この度は当店のご利用誠に有難うございました
またのご利用を心よりお待ちしております

O2Factory
岡村正樹
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到着後のメール:その1
オイラ>ギターは、5時過ぎに無事に到着しました。
今日は夜の会合があるのでゆっくりは触れませんが、
ブリッジ他全て、きれいに仕上げて頂いて、ありがとうございました。
チューニングもバッチリできます。
明日からは、新しいバランスで弾けるよう身体を鍛えます。
ありがとうございました。
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返事>サドルトップのRについて
明石様
お世話になっておりますO2Factory岡村です
無事到着のご連絡有難うございます
一つご連絡し忘れていた事がありました
サドルトップのR(曲面)ですが元付いていたサドルのRが指板のRと合っておらず
弦高のバランスが1・6弦の弦高に対して3・4弦の弦高が高くなる状態でしたので
新しく製作したサドルは指板Rに合わせて製作しました
これにより1弦から6弦に向けて徐々に弦高が高くなる様にしております
もし同梱いたしました元のサドルと新しいサドルのトップの曲面の違いに
疑問をお持ちになられたら上記の理由からであるとご理解下さい

それでは今後とも何卒よろしくお願いいたします

O2Factory
岡村正樹
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到着後のメール:その2
オイラ>ご連絡ありがとうございます。
昨日、6から1弦に軽く流した感じが以前と比べて、
フラット(平っぽく)な感じがしたのは、そういう事ですね。
これまでのアタック感と違っていた理由が解りました。
先程、以前のサドルを見て確認しました。了解です。
ブリッジ表面も指板もドットもフレットもきれいにして頂き、驚いています。
またチューニングが見違えるほど、良く合います。

ボディ内のゴミも掃除して、ピックアップも取り付けました。
毎週土曜日のライヴに2週間で復活です。ありがとうございました。

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返事>ナットの弦溝について

明石様
お世話になっておりますO2Factory岡村です
ギターの仕上がり気に入って頂けたようで安心いたしました
チューニングが合わせ易くなったのは恐らくナット交換したからだと思います
ナットの弦溝の切り方で大きく変わる所ですので「どんな奴が溝を切るか」は非常に重要な所です
ナットの交換は何故か軽く見られがちなようでDIYでやってしまう人も多いようですが
この仕事をして20年以上経ちますがナットの溝切りはいまだに難しいと思っています
またピッチに関しても元の状態がかなりの順反りと高弦高と云うピッチが合い難い状態でしたので
ネックの反り修正と適正な弦高調整で以前とは大分変わっていると思います
セッティングがいかに重要かご理解頂けたのではないかと思います

それでは今後ともよろしくお願いいたします
O2Factory
岡村正樹
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岡村さん!いろいろとありがとうございました。
また、これからも宜しくお願い致しま〜〜す。